〜初の一人旅はタイへ〜 vol 3
早朝6時起床。まだ自分がタイにいる現実を信じられないでいる。同じ部屋の人たちはまだ寝ているようだ。
物音を立てないように静かに準備をし、いざ出発!
そう、タイに来たらやると決めていたことがある。その一つを今日は実行しようと思う。
それは、「ワットポーでルーシーダットンヨガに参加する」というもの。
ワットポーという寺院で毎朝8時から30分間のヨガに似たルーシーダットンというものが行われているのだ。参加費は無料。参加者は現地の人が多く、先生が10個のポーズを教えてくれるらしい。せっかくだから、ヨガの後は、ワットポーを観光したり、タイ古式マッサージもしたい!!
そんな計画もひそかに立てていた。
ワットポーへの行き方は、持参した地球の歩き方に乗っていたが、行き方は色々だった。昨晩ジーンに聞いてみた情報によるとバスで向かうのがいいらしい。親切に地図まで書いてもらった。
って。これよくわからない。私の方向音痴が原因なのか、それともこの地図があまりにも簡略されているのか、、、
結局30分以上歩いてもこのバス停を見つけることができなかった。それに、道路で目にするバスはめっちゃローカルで古いのが見てわかる。外国人とか誰も乗ってないし。タイ語で行き先も伝えられないよ。
これでは、ヨガに間に合わなくなるので急遽、昨日の電車を降りた駅まで行き、電車とボートで行くルートに変更することに。
駅に着くと、荷物チェック、そして切符となるコインを購入する。ただ、札しか持ってないことに気づく。両替機らしいものもない。
あ〜どうしよう。これじゃ電車乗れないじゃん。みんな小銭は常に持ってるのかなぁ。
しばらく、うろうろ駅構内を歩き回っていると、突然正面から、日本語でお姉さんが声をかけてきた。
お姉さん「どうしたの?困ってる?」
私「え?あ、はい。日本人ですか!あ、えっと、実は小銭くずせなくて切符が買えないんです。」
お姉さん「あーそういうことか。チョット待ってて」
そういってお姉さんが駅員のいるカウンターに行き、小銭をくずしてくれるように交渉してくれた。
お姉さん「はい、どうぞ。どこまでいくの?」
私「あ、ありがとうございます。ワットポーです」
お姉さん「それなら、私が行く駅と同じだよ。一緒に行こう!」
えええええええ!!!なんというラッキーパーソン!!
まさか、ここで日本人に会えるなんて。しかも行き先まで一緒なんてすごい!こんな偶然あるのか。
人の優しさ、しかもそれが日本人だなんて。お姉さんは、英語が堪能でスタイルが良く、ファンションも私とは真逆。女性らしく、モデルっぽい感じ。
絶対に私の友達にはいないタイプだし、この先、こんな感じの人と話す機会もないと思う。
それに、この人からしても、私みたいなのと一緒にいるの嫌じゃないのかな。恥ずかしくないのかな。。。。
なんて逆に申し訳なくなってきた。
でも、お姉さんはそんなこと全く気にしていないようで、私のことよりも自分の話を無我夢中で話していた。
これから彼氏と会うらしい。旅慣れしていて、これまでいろんな旅をしてきたのだとか。
その話をするお姉さんはとても生き生きしていて、今まさにこの瞬間を楽しんでいるようだった。
自然体ってこういうことなのかな。
それに比べたら私の考えていることってネガティブで助けてもらったことを素直に受け入れられないし、相手の気持ちとか心情とか勝手に思い込んで被害妄想して落ち込む、、の繰り返しだって。
お姉さんみたいに、全て素直に受け入れて喜びを体全体で表せるような人って素敵だな。助けること、困っている人に声をかけることってすごく勇気がいることだけど、彼女はそれを当たり前のように私にしてくれた。
きっとこれまでも、そうやっていろんな国でいろんな人に優しくしてもらったから自然にできるんだろう。
そんなことを感じながら電車内で彼女といろいろな話をした。名前も年齢もどこに住んでいるのかもわからない。たまたまタイで会った人。でも私にとっては、忘れられない人になった。
駅に着いて別れ際に、彼女は言った。
「大学生だからこそ、できる旅だよね。楽しんで!!!」
・・・・・。いや大学生って。
まあ、そう見えたならそれでいっか。笑
お姉さんと別れて少し歩くとすぐにボート乗り場が見えてきた。
時計を見るとすでに8時になろうとしていた。あ〜間に合わないかも。
でもここで引き返すのも嫌だし、行くだけ行ってみよう!
ちょうどボートが出発しようとしているみたいだが、はたしてこのボートはワットポーまで行くのだろうか。。
行き先が書いていないかとキョロキョロしていると、私の側に立っていた外国人(アメリカっぽい)と目があった。驚いたことに彼女、、、というかおばあちゃんだった。背中にはおおきなリュックを背負ってバックパッカーのようだ。すごい、こんなおばあちゃんになっても一人旅を続けているなんて、旅に年齢制限なんてないんだな。
とても優しそうに微笑みかけてくれたので、このボートはどこに行くか聞いてみた。
すると、おばあちゃんはボートの運転手に聞いてくれ、これでいいのよ。と教えてくれた。
またしても優しい人に助けられた。
なんだか、まだ今日という1日が始まったばかりの朝だというのに、ものすごい冒険をしている気がする。落ち込んだり、焦ったり、笑ったり、安心したり、勇気出したり。
すごいや。そして、目的地にいくために私は確実に前進している。
ワットポーにはすぐ着いた。時刻は8:20。確か30分までだっけ?
急げーまだ間に合う!
ワットポーの中は人がほとんどいなくて、たくさんの金色に輝く塔や仏像があった。どこでヨガをやっているのか、走り回っていると10名ほどの人たちが列になって動いているなが見えた
いたーーーこれだ!
みんな先生らしき人の動きに合わせて、体全体を使って動きを合わせている。
呆然とその様子を見ていた。
思っていた以上に動きがハードで初心者である私が入ったところでついていけないだろう。
それに、なんとなく終わりそうな雰囲気だったのでとりあえず、傍観することに。
結局、お目当てのルーシーダットン参加という目的は果たせなかったけど、私はすでに大満足だった。
ここに来るまでの大冒険。それを味わえたのだから十分だ。
なんだか、そんな気持ちに浸っていたら、もっといろいろなことに挑戦してみようという気になってきた。
まずは、ここを観光。人も全然いないし、写真も取り放題、じっくり観光できる!ラッキー!!!
30分後。暑い、暑すぎる。休憩。
てか、そろそろ飽きたな。そういえば人も増えてきた。疲れた。もう歩きたくない。
すると、、、、目の前にはマッサージの文字が。
そしてその看板の前にめっちゃ笑顔のおばちゃんがこっちを見て手招きしている。
いつもだったら、客引きとかされると余計行かない、行ってやるもんか。となる。どうせぼったくるんだろ!って。
でも。あの笑顔。決して人を騙すような顔じゃない。
それに、あのおばちゃんにマッサージしてもらったら癒されるだろうな。
おばちゃん、まだ笑顔で手招きしてるよ。。。
はい、行きます。
値段聞いたら30分で240B(大体700円くらいか)
安いじゃん!
中に入ると、アロマのいい匂い!スタッフはみんなおばちゃん。すこしニホンゴも話せる!
たぶんおばちゃんたち、日本語も英語も最低限の単語しか知らないから、他のプランを勧めたり、何かを売り付けたりしてこない。
必要以上に会話もしてこないから、私にとっては最高な時間だった。
横向き、うつ伏せ、座位。日本のマッサージと違って指圧がメイン。じーっくり、いたーい、きもちー、いたーいの繰り返し。30分が至福の時間だった、こりゃいい。
最後にお茶までいただいてフィニッシュ!
気分最高でワットポーはおしまい!
次はどこへ行こうか。。
やっぱり旅と言ったらバックパッカーの聖地。カオサン通りに行きたいな。
とりあえず、そんな遠くなさそうだし歩くか!地図を見ながら方向を確認していると、優しそうなおっちゃんが片言の日本語と英語で話しかけてきた。
おっちゃん「コンニチワ。ドコイク? ディスイズ トゥクトゥク! 」
あーーーーー出たーー!
これ地球の歩き方に書いてあったぼったくりの客引きじゃん。
ほんとにいるんだー
たしか本によると、最初は仲良くなるためにニホンゴで話したり、身につけているものを褒めてきます。
そして行き先を知ると、その行き先に加えて5〜6箇所有名地やブランド店を回ってくれると言います。
最初に言われる値段は高値なので要注意!値切れたら交渉すると良い!
本に書いてある通りに、おっちゃんは私と仲良くなったと思ったのか、カオサン以外に寺、ワットブランケオ、シルクのお店を周ってあげると言い出した。
え?!シルクの店?いやいやお金ないって言ったじゃん!それにいかにも怪しい。
シルクの店は行きたくない!と断固拒絶したら、おっちゃん曰く、見るだけでいいんだ。おっちゃんも買わせる気はないらしい。外国人を店に連れて行くだけで、その店からガソリン代を貰えるらしいからおねがい!と。
まあ話してみると、そんなに悪い人でもなさそうだし、ここはまんまとおっちゃんにひっかかってやりますか!
私「おk!でいくらよ?」
おっちゃん「ここは特別に君はかわいいから40Bでいいよ」
正直、金額はどうでもよかったけど、値切れるものか試したくて
私「高すぎだよ!30Bでどう?」
おっちゃん「おk」
え!?!?そんな簡単に下がるんかい?!
あまりお金に貪欲じゃないんかな。
とりあえずこのおっちゃんとなら楽しそうだし、経験だ!それにトゥクトゥクという乗り物も初めてだし、まっいっか!!
トゥクトゥクはエアコンはないけど、両脇から風が入ってきてとても気持ちいい!
おっちゃんは運転に集中するどころか後ろを向いて私にいろいろ話しかけてきた!
とにかく、飽きさせない、嫌な気持ちにならない。
外国人である私。女である私。一人でいる私。
そんな私をなんの差別した目で見ることなく、ただ話したいから。
そんな単純な理由だけで関わっているようにすら感じた。
少し走ると、ガイドブックには乗っていない小さな寺院へ。
「ここで待ってるから見てきて。無料だから」と一言。
え?何時に出発?
そんなことを聞く前におっちゃんは私を降ろすなり、どこかへ行ってしまった。
え〜
こんあ小さな寺院。あんま興味ないし、見る限り10分くらいで見終わるよ。
それにおっちゃんどっか行っちゃたし、連絡先も知らないし、大丈夫かな?
まあ。とりあえず観光するか。
思った通り小さな寺院だった。
もう見るものない。座って待てるようなとこもない。
すると現地民らしき男の人が話しかけてきた。
どうやら英語を少し話せるのと、日本が好きだということを私に言いたかったようだ。
なんだか、嬉しい。たまたま訪れた小さな寺院。
行ってもどうせつまらない。見ても時間の無駄。そんなふうに思ってきたけど、楽しみ方は予想外だった。
人との出会いでここでの思い出ができた。
帰りは清々しかった。入り口付近にはおっちゃんが手を振って待っていた。
トゥクトゥク仲間と楽しそうにおしゃべりしている。
そっか。別に何分までに戻ってこいとか。何分以上ここにいなきゃいけないとか。そんな考えないんだ。
おっちゃんは、ただ私をここに連れてきたかった。ここにいる仲間と話したかった。
それだけ。
日本のように時間や待ち合わせに絶対はないのだ。
すきなだけ、いたらいい。自由に。
なんだか日本で過ごしてきた今までの日常がどんどん壊されていく感じ。
ここに来てから、
すべてが単純でゆるい。時間とかルールとか私を縛るものがない。
戻ってきた私に、遅いとか、早いとか、そんなことは言わずただ
「楽しかった?」っとニコ〜っと一言。
「うん、たのしかったよ」
日本だったら、せっかく連れてきてもらったから、あそこがよかったとかちょっとした感想を言うべきなのかもしれない。でも、私はそんな嘘の作られた感想をいうよりもただ一言の楽しかったでいいじゃん。って思った。だって自分がそう言いたいんだから。