~初の一人旅はタイへ〜 vol.2
次は、、、と。時間は夕方17時。やば。日が暮れる前に宿に行かなくては。
タイに行く直前、宿も現地で決めるスタイルで行こう!と、たかのさんの本通りに従うつもりだったが、到着時刻や空港からの移動などちゃんとできるか不安すぎたため、ゲストハウス を予約した。しかもオーナーは日本人らしい。ゲストハウス というのは、主に世界中から来た旅人が安く泊まれる場所。ホテルに比べて部屋はドミトリーといっていわゆる相部屋(場所によっては男女別もあり)、シャワーやトイレも共同、朝食や夕食などもつかない場合が多い。利点は様々な国の人たちとコミュニケーションがとれるということ。
ここで親しくなれれば、一緒に観光をしたり、ご飯を食べたりと旅の情報集にもなるし、友達が増えるきっかけにもなる。
例え一人で来ても、寂しさを忘れられるくらい旅が楽しく、最高の出会いの場になることまちがいないし。
たかのさんは、こういったゲストハウス で同じく日本から一人旅に来ていた人と出会ったり、宿のオーナーやスタッフと仲良くなって街を案内してもらったりしていた。
だから私がゲストハウス を選んだ理由は、とにかく外国の友達がほしい!たかのさんのように英語が話せなくても、きっとコミュニケーションはとれる!絶対友達作るぞ!なんてかなり期待は高めだった。
目的のゲストハウス まではおよそ電車を乗り継いで1時間程のところにあるようだ(事前調査のメモによると)
ただ電車の乗り方が日本とは違うみたい。
電車に乗る前には必ず荷物検査をする。でも、係員はなんとも適当でサッと鞄の中を見ただけでおっけー。これする意味あるのか?
そして券売機みたいなので行き先の駅のボタンを押すとコインが出てくる。それを改札にかざすとゲートが開きホームに行くことができた。
なんだ日本とそんなに変わらないじゃーん。駅はゴミひとつない。とても綺麗で乗車率もそんなに高くない。思っていた以上に近代化が進んでいる気がして想像していたTHE途上国感は今のとこない。
時間も定刻通りに出発だ。素晴らしい!
思ったよりもスムーズに移動でき、ゲストハウス の最寄り駅である「タイランド・カルチュラルセンター?」とかいう駅に着いた!
でもすでに外は真っ暗。怖すぎる。ここから徒歩10分という情報しかない。アホなことに駅からの地図忘れた。知っているのは宿の名前だけ。WIFIも使えないからgooglemapもタメじゃん。またしても訪れる危機。
ええい!こうなったらお金がかかってもいいや、宿に着いたらこっちのもんだ、機内モードon,
データローミング解除、と。google復活!これで宿の住所も方向も大丈夫でしょう。
歩くこと10分。
でも歩いても歩いても地図が反応しない。地元民しかいない通り。みんな私をじろじろ見る。電気がないから真っ暗。歩く道も舗装されてないし、道のあちらこちらで野良犬が寝転んでいる。今にも飛びついてきそうだよ。。
歩行者優先なんて意識ないんだろうな、車もバイクも容赦なくスピード出してるよ〜〜
頼りになるはずのgoogleでさえももうあてにならん!
と不安で泣きそうだったところに、、、、あれ?あれはもしや日本人?若くてきれいなお姉さんが私をじっと見ている。
ためらっている時間はない。普段だったら助けてほしい時、他人に直接ヘルプを求めたことなんて一度もない。ましては、ここはタイ。相手が本当に日本人なのか?どんな人なのか?信じられるのか?。。。全くわからない。
でも、今まさにこの瞬間は自分にとってピンチな状況に間違いないのだ。
勇気を出して一歩。彼女に近づき、話しかけてみた。
私「え、え、えくすきゅーずみー?あの、カミンバードホステルっていうゲストハウス 知っていますか?」
私は緊張と焦りと暑さで、身体中汗だくだく。その様子を見てお姉さんギョッとした表情。それとも、私の日本語通じてない?
すると、私が持っていた携帯をのぞいて住所を確認し、その後自分の携帯で検索してくれた。
お姉さん「う〜ん?この道をまっすぐ行って右に曲がる。でもそのあとは誰かに聞けば大丈夫よ。」
うわぁぁ。何この人!?めっちゃ親切じゃん。見ず知らずの私みたいな人に対してここまで親切にしてくれるのか。
人の親切や優しさってこんなにも私に安心感と勇気と安らぎを与えてくれるものか。
こんな感情になったのは生まれて初めてだった。この人に会うまでは不安と恐怖で押しつぶされそうで、もし宿たどり着けなかったら。そもそもこの宿存在してなかったら。なんて悪い方ばかり考えていた。
でも。一瞬で吹き飛んでしまった。大丈夫。ぜったい見つけられる。やってみせる!
お姉さんにお礼を言い、言われた通りに道を歩いてみた、ここを右に曲がった後人に聞くと。
でも人がいない。うろうろと彷徨いながら歩いていると食堂らしき一軒の建物が。そこの店員らしき太った姉ちゃんが立っていた。完全にタイ人。無表情で私の方を見ている。
コワイ。コワイ。
でもここまで来たら。。。行くしかない、。
私「カミン バード ホステル?」
恐る恐る聞いてみる。
すると、太っちょお姉さんが笑った。隣を指差している。
その先には、探し求めていた宿が!
おおおお!あっっっっっっったーーーーーー!神様仏様ありがとう!!!天は私を見捨てなかった!ありがとうありがとう。
この私の喜びっぷりに太っちょお姉さんも嬉しそうに笑っていた。
ごめんね。見かけだけで判断してしまって。
目的の宿に着くのがこんなに大変だとは。何はともあれ無傷で着いた。ものすごい達成感。
さあ、早く中に入ってオーナー日本人らしいし、いろいろ話したい。。。
気付いたら時間は20:30。もっと夜中かと思ってたらまだこの時間なのね。
ドアを開けるとそこには、黒縁メガネをかけたロン毛の若めの男の子が笑顔で私をみるなり、、一言。
「サユリチャンネ」
私「はい、そうです。うわぁぁよかった!初の一人旅なんですよ。ここまで来るのにほんとに大変で携帯使えないし、言葉通じないし、暗いし、コワイし。。。もうどうなっちゃうかと思いましたよ〜」
「・・・・・・・・・。ゴメンネ ニホンゴ チョットダケ」
え〜〜?!?!日本人じゃないんかーい!気を許しすぎて安心感からか、マシンガントークのように話していた自分が急に恥ずかしくなった。
まぁいいか。少しだけでもニホンゴが話せるだけでもありがたいと思わなきゃ。
一通り部屋の案内や使い方を案内してもらった。1〜4階まであるみたい。階によって男性と女性と別れているようだった。ただ不思議なことは、人の気配が全くしないこと。誰も宿泊していないのか?それとも、みんなすでに仲良くなって集団でどこか遊びに行ってしまったのだろうか。。。
でも私の英語力では、どう聞いたらよいかわからず、ひとまず自分の部屋に行くことにした。
部屋には2つの2段ベッドが置いてあった。それぞれのベッドにはコンセントとカーテンがついており、プライバシーは最低限守られるようになっていた。それにしても、干しっぱなしの下着、衣服や私物がベッドにドカッと置いたまま、床もかなり荷物で溢れている。すごい生活感丸出しだ。そういえば、あのスタッフのロンゲくん。アメリカ人2人と中国人1人が泊まってるって言ってたな。
あきらかにこの荷物の量5人分くらいの気がするけど・・。
なんか会ったこともない人のお家に上がりこんでる感じ。部屋には私しかいないはずだし、カーテン閉めちゃえば完全に周りの様子は見えないけれど、ぜんぜん落ち着かない。
少しの物音が聞こえるだけで、ビクッとし、帰ってきたのかな?会ってなんて話せばいいのかな?なんていろいろ妄想し出したら、そわそわがとまらない。ネットももう使えるはずだけど、何を調べたら、これからどうするか、よく分からなくなってきた。
とりあえず近くにコンビニがあるはずだから、そこまで行ってみるか。
水とティッシュを買って宿に戻ると、まだ誰も戻ってきていないみたい。
ロンゲくんが座っていた。名前はジーン?というらしい。
日本語はほとんど話せないらしい。私も英語に自信はないけど知っている単語で質問してみる。質問はできても答えてくれる英語の意味は理解できない。
だから会話がすぐ終わる。
その繰り返し。無言の時間。
私はこういう空気や会話が続かなくなってお互い気まずいなと思う時間が一番苦手だ。日本語であれば特に興味がない話題でも一応一通り相手に合わせて話ができるけど、言葉が分からないから自分にとっての逃げ道?的なことができない。
私には笑顔とジャスチャーの武器しかない。
あ〜どうしよう。
あれ?でもなんか変だ。こんな状況でも全く苦に感じないし、この状況がストレスでもない。なんだろう、この感じ。自分のペースでいられる空気感。
初めて会った人。国籍もちがう。言葉も分からない。でもまるで空気のように威圧感を与えない感じ。なんだか心地よかった。そうしてるとこれまでの疲れがドット押し寄せてきたので部屋に戻るとすぐさま眠りに落ちてしまった。
どれくらい眠ったのだろう。カーテンの外から英語が聞こえる。あれ?私どこにいるんだ?
と寝ぼけながらカーテンを開けてみる。
すると目の前には私より年上っぽいお姉さんともう一人若めの子のアメリカ人?が!!
咄嗟にでたのは「ハローよろしくおねがいします」
?!やば。寝ぼけてニホンゴで挨拶しちゃったよ。
2人組の彼女たちはニコッと微笑んで「HI」と返してくれた。
あまりの恥ずかしさで微笑みながらカーテンを閉めてしまった。
ギャー。初めましてだというのに。最初が肝心なのではないか。それにしても生で初めて見たアメリカ人!めっちゃきれい!
えええい!さっきの失態は忘れろ。もう寝る!と再び夢の中へ。
たぶん22:30ゴロだったと思う。就寝。すると先ほどのアメリカさんが電気を消してくれた、心の中でサンキューと言った。。
夜中ふと目が覚めた。そおっとカーテンを開けると、みんなの寝息が聞こえた。
顔も知らない。たまたま偶然ここで泊まっただけ。
見ず知らず外国人がこの布の向こうで寝てる。変なの。
いきなり襲われても、自分を守るものなんて何もない。無防備。身一つ。相手を信用できるものなんて何もないのだ。
なんて刺激的でスリリングなのだろう。こんなこと日本にいたら絶対経験できないだろうな。
これがドキドキ、ワクワクを交互に感じながら眠る初海外の夜だった。