生きてるってこういうこと!

#青年海外協力隊としてベトナムで過ごす日々。旅が私を変えてくれた。人が私の心を満たしてくれた。どんな時も自分が自分らしくいれるために大切なことはここに記録しました。

〜まぢなんなんっ!インドってさ!〜vol 7

結局、最後のNAKAMURAとの別れの時まで彼に対する、怒りと不信感とインドそのものに対するショックみたいな気持ちが残っていた。

 

まあ、とりあえず怪我してないし、お金や貴重品も盗まれていない。それだけでも、幸運だと思わなくちゃ。そう必死に自分に言い聞かせていた。

 

もうすっかり日が沈み、夕方になっていた。今日はこれから、夜行列車に乗ってバラナシに行くことになっていた。出発は21時ごろの予定なのでそれまでにレストランで夕飯を済ませ、アグラフォート駅まで向った。それにしても、辺りは街灯がほとんどなく何も見えない。真っ暗闇だとインド人の目がやたらとギラついているようで、怖い。。

駅に着くと、そこはかなり混雑していて、座る場所はもちろんない、みんな床に寝転がったり、座ったりして歩くのもやっとだ。

仕方なくホームへ行くことにした。インドの列車といったら時間通りに出発しないことで有名だ。聞いた情報では、1〜2時間の遅れは当たり前とか。

もし、遅れて明日出発になってしまうと、帰りの飛行機にも影響するので、諦めなければいけない。

そうなったら今日泊まる宿を探さなきゃいけない。真夜中にそれをするのは、あまりにも危険すぎる。あーどうなっちゃうんだろう。

 

先が見通せないことの不安や人を信じられないから、どうにかなるでやりきれない焦りと不安。

まあ、とにかく今は列車を待とう。

先のことを考えれば不安が尽きなかった。列車に乗ってもわたしとタムの席は近いのか、たかのさんの乗った列車のように自分の席に誰かが座っている可能性だってあるし、、、

 

それにしても、今日は本当に疲れた。真っ暗なホームにたむと腰を下ろし休んでいると、ホームの端から何かがやってくる。

暗くてよく見えない。

そういえば、駅の中は人が多かったのに、ホームに出た途端、人がほとんどいないな。

 

すると突然暗闇の中から姿が現れたのは、野犬だ。

しかも数匹ではない、パッと見ただけで10匹以上はいる。私たちは驚きのあまり「キャー!」と叫んだ。

その声に野犬たちも吠え、こちらに近寄ってくる。私たちはホームを必死に走る。

だが走れば余計野犬もヒートアップして、今にも噛み付くのではないかという勢いだ。

どうして私たちだけ狙うんだよ。他にも狙う奴らはいるだろう。。

 

そう思っていながら、ふと、たむを見る。

今にも泣きそうな顔で物陰に隠れていた。

そうだ。たむは犬嫌いだった。こんな真っ暗闇で突如、多くの野犬に囲まれ、追いかけられるとは。たむにとっては恐怖しかないだろう。

私たちは距離をとって野犬に見つからないように隠れていた。

小さな声で「たむ、大丈夫?」と声をかけると、

「話しかけないで!!!ばれたらどうするん?!もうやだ。帰りたい。。。」とかなり余裕がない様子だ。

完全に恐怖と怒りでヒートアップしてる。

しばらくして、野犬は私たちを探すのに諦め。再びホームの端に戻ろうとしていた。

すると、突然どこからともなく、インド人のおじいさんが犬に向かって棒で怒鳴りながら、叩き始めた。犬は再び興奮し、こちらに戻ってきた。

私たちはまたしても、逃げる羽目になった。

たむは恐怖のあまり「あのじいさんが余計なことするからまた野犬がこっちにきたんじゃん!あのじじい、頭おかしい。てか、列車来ないし、もうこんなとこいたくないよ!!」

かなり、攻撃的に私に言ってきた。

私もあまりの不安に耐えきれなくなり「私だってわかんないよ!列車がいつ来んのか。それに今から列車諦めたって他に宿なんてないよ!!」

 

はい。始まりました。恒例の喧嘩。もう慣れたものだ。でもインドに来てまで喧嘩するとは。

しばらく、お互い離れて無言でいたが、たむがトイレに行きたいと言うので野犬に警戒しながらトイレを探すことに。

この強烈な異臭からすぐにトイレは見つかった。薄っぺらい板のようなドアのついている個室のようなものが3〜4つある。

一つ目のドアを開ける。

すると中で女の子が用を足していた。彼女は私を見上げている。

私はそっと何も見なかったかのようにドアを閉めた。

 

てか、インドのトイレって日本の和式のトイレと違ってドアの方を向いてするんだ。。

続いて隣のトイレのドアを開けてみる。

すると、今度はおばさんが用を足していた。彼女は私を見上げている。

再び、何も見なかったかのような素振りでドアを閉めた。

 

そのシュールは光景をたむは見ていた。さっきまで険悪なムードだったが、ここであれを言わないと後悔すると思い、

「なんなん」と一言。ハモッた。

 

トイレを済まし、時間を確認するとすでに出発予定の時間になっていた。

しかし、列車が来る気配はない。

疲労はかなりピークに達していたし、何より早く列車に乗って安心したかった。

 

30分経った。すると、周りにいた人たちが騒ぎだした。もしや、列車が来るかも。

 

ただここでまたもや問題発生。

私たちはいったいどこの車両に乗れば良いんだ?

チケットには番号が書いてあるものの、ホームにはどこに何号車が停車するとか言う案内はどこにもない。

 

ホームは果てしなく長い。列車が見えてきた。見る限りすごく長い。

私たちは慌てて近くにいる駅員らしき人に聞いてみると、今いる位置よりずっと向こうを指差している。

再び走り出す私たち。混み合う人たちの間をかき分けてとにかく、言われたところに向かって走り出す。

列車は止まり、人が一斉に乗り込む。

やばい、間に合わなかったらもう後はない。

出発ぎりぎりで言われた号車に着いた。というのもさっきまでインド人しかいなかったはずなのに、いきなり欧米人らしき集団がたくさんいたのだ。ここは外国人専用に違いない。

なんで気づかなかったんだろう。ここにいれば、あんな怖い思いしなかったのかも。。。

なにはともあれ、列車に乗ることができた。

 

その時、後ろから

「あの!!日本人ですよね?」

 

 

え?何だろう?この久しぶりに聞く言語は?

一瞬思考が停止する。

明らかにたむの声ではない。

 

私たちは声のする方へ振り向くとそこには、

インドの衣装サリーを着て、大きなバックパックを持った二人の女の子が手を振っている。

 

これは幻?

こんな真っ暗闇でさっきまで野犬に追いかけられ、見たくもないトイレシーンを目の当たりにし、インド人のギラついた目でガン見され続け、自分が旅行者、いや年頃の女子だということすらわからなくなっている今。目の前に華やかで煌びやかな衣装をまとった美女二人が私たちに日本語を話しかけている。

これはもう末期症状なのか。。。。

 

しばらく沈黙でいると、

「あ!やっぱり日本人だ!こんなところで会えるなんて。奇遇ですね。」

 

いやこれは夢じゃない。

私は、いきなり目の前に現れた初対面の日本人に泣き付きたくなった。

この人がどんな人であろうと日本人であることには間違いない。

これまで、空港から出て以来、日本人に会うことはなかった。

どうしてだろう。日本人と言うだけで仲間意識というか安心感がすごい。

 

そしてこれは、またしても夢のような話だけれど、

彼女たちは私たちと同い年。

そして席は隣だった。

 

こんなことってある???

 

 

 

 

つづく