生きてるってこういうこと!

#青年海外協力隊としてベトナムで過ごす日々。旅が私を変えてくれた。人が私の心を満たしてくれた。どんな時も自分が自分らしくいれるために大切なことはここに記録しました。

〜まぢなんなん!インドってさ!〜vol 6

タージマハル を見学し終わり、トゥクトゥクに戻る頃には、お腹がペコペコだった。

NAKAMURAがおすすめのレストランがあると言うので、案内してもらうことにした。

 

レストランらしき所に到着した。

が、見る限りかなりアットホームな感じだし、客も誰もいない。あ、でも一応トリップアドバイザーのマークがあるから、大丈夫か。。。

店員らしき若い兄ちゃんが一人いるだけでなんとも不思議な店だ。

まあ、とにかくお腹が空いた。

たむと相向かいで席に座ると、なんとNAKAMURAもごく当たり前のようにタムの隣に座った。

え?まさか食事も一緒にするつもり?!?!

さすがの私たちもせめて食事くらいは、二人でゆっくりしたかった。NAKAMURAがいたんじゃ話したいことも話せないじゃないか。しかも、なぜ同じ席に座ったんだ。。。

 

内心呆れていた。もうインド人って空気読めないの?いや、今知った事ではないか。。。

 

NAKAMURAは何を食べたい?と聞いてきたが、

そんなことよりも私たちの第一声は『とりあえず、生!!!』

この暑い日にキンキンに冷えたビールが飲みたくてウズウズしていた。

 

前にも触れたがインドでは、お酒はあまり飲まない文化がある。しかし、稀に外国人向けに飲食店ではビールを提供することがあるのだ。

私たちのビール!の要求にNAKAMURAはギョッと驚いた表情。

この若い女子は昼からビールを飲むのか?!?!

きっとインドの日常では考えられないことなのだろう。

 

でも、そんなこと私たちには知ったこっちゃない。とにかくビールだビール!!

すると、店員は冷えたキングフィッシャーというインドのビールを持ってきた。

「かんぱーい!」と言い、ぐびっと飲む!!

すぐに一本が空。そしておかわり。

そんな私たちの様子をこれまた唖然と見つめるNAKAMURA。

一応、隣に座っていたので飲む?と勧めてみた。まあ、インド人は飲まないだろうが。。

と思っていたら、強がっているのか、こんなことで動揺してないぜと言わんばかりにNAKAMURAもグラスに口をつけ、ビールを少し飲んでいる。

 

その後も、私たちはバターチキンカレー、マトンカレーチーズナン、さらにはフライドライスを注文。

あまりにもたくさん頼むので、これまたNAKAMURAも心底驚いている。

 

料理を待っている間、NAKAMURAは私たちに自分のFacebookに投稿してある写真を自慢げに見せてきた。

そこには、数十枚もの自分のマッスルポーズ写真。全部同じ写真にしか見えなかったが、一枚ずつ、ニヤニヤしながら見せてくる。

私たちはビールを飲んでかなりハイになっていたので、リアクションだけは大きく、「ハンサム!」「ナイス!!」を繰り返し、連発し彼を盛り上げていた。

その後も「これは奥さんだ」とまるでモデルのような美女の写真を見せてきた。(ツーショットで写ってる写真はなかったので本当かはわからないが。)

 

とにかく、この写真お披露目会はかなり長い時間続いた。

あー。インド人って何でこんなに自撮りしてみんなに見せたがるんだろう。これ誰得なんだろう??

 

と、私もたむも写真よりも早くカレーが食べたいなと思いながら、NAKAMURAの相手をするのに心底うんざりしていた。

 

しばらくするとようやくカレーが出来上がったようだ。

日本で食べるインドカレーとは全く違う。いろんなスパイスの香りとほどよい辛さ。絶妙すぎてどれも絶品だった。

 

私たちが食べているのを横目で見ながら携帯に夢中なNAKAMURAに「食べないのか?」と聞いてみたが「俺は食べない」の一言。

 これじゃあ、余計食べにくい。

てか、この人さっきから飲み物すら頼まないで私たちの席に座ってるだけじゃん。

私たちだって二人だけで今後の予定とかおしゃべりしたいのに、こいつがいるから気になって全然話せないし!!

なんなんだよ。まったく。

 

お腹がパンパンになるほど食べた。大満足だ。

私たちは、ビールの酔いと満腹感から急に眠気が襲ってきた。

NAKAMURAも自分の写真を見せ終わり、ようやく落ち着いたようだ。

 

だが、なんかさっきからNAKAMURAの様子がおかしい。

なんとなくだけど、あれ?たむに近づいている?明らかに体の向きや距離感がたむに寄っているのだ。

すると、NAKAMURAが口を開いた。

「二人とも眠そうだね。すぐそこに広い芝生があるから、そこで昼寝をするといいよ。でも、

俺はもっと君たちのことを知りたいから今度は一人ずつ話そう。一人と話している間、もう一人は寝ていたらいいよ。」

 

おしゃべりって。え?もうさんざん話したじゃん。それになんで一人ずつなの?意味がわからない。

私たちは顔を見合わせ、なんとなくこれあんまりよくない感じだね。と通じ合った。

たむが、なんとか話を変えようとするが、NAKAMURAも頑固だ。

マッサージが得意だからやってあげるとか、二人だけで話したいとか、かなりしつこい。

 

しかし、もしここで、こいつから逃げても、現在地もわからない上、道に迷うのはかなり危険な気がした。ここは穏便に、ある程度こいつに付き合って、タイミングを見て店を出ようと二人で決めた。

 

最初にタムがNAKAMURAと二人で話すことに。私は庭らしき芝生に移動し、布らしきものが敷いてあったのでその上に腰を下ろし寝転がった。

一見、平和に見える光景。そう、ここが日本であれば。しかし、まさにこれからやばいことが起きてしまうのではないかと不安になる。

いくらインド人だと言っても、向こうは筋肉マッチョの男だ。力づくで押し倒されでもしたら、とてもじゃないけど敵わない。それに助けを呼べるような人もいない。ここのレストランの若い兄ちゃんも状況を察したようで、店の奥へと行ってしまったし、グルの可能性だってある。

このレストランに客一人いない理由が分かった気がした。

きっとタムのことだ。もしやばいと思ったら大声を出すだろう。それまで私は逃げる術を考えなければ。私が寝転がっている位置からは、タムの様子は見えない。だから余計に気になる。

 

すると、いきなりどこからともなく、私のもとに野犬だろうか大きな犬が近づいてきた。

ヒエッ!!何この犬!?

インドの野犬には近づいたらいけない。狂犬病の可能性が高い。噛みつかれでもしたら、命を落としかねない。

NAKAMURAのことを考えるよりもこの犬から逃げることを考える方が今は大事かもしれない。必死に逃げるが、逆効果だ。ずっと付いてくる。

 

とりあえず、たむも気になるし、この犬も追い払ってもらわなきゃだし、と思い中の様子を見に行くことにした。

 

おそるおそる中を覗いてみると、誰もいない。が、奥の部屋らしきところから声が聞こえてくる。私は声のする方へ行ってみると、なんとそこには、大きなベッドが一つ。その上にタムが座り、横にはNAKAMURAが立っているではないか?!?!

 

f:id:zblo:20200625142217j:plain

こんな状況でもビールを飲むたむ


私は思わず「たむ!大丈夫?!」

と声を張り上げた。タムとNAKAMURAは私の方を見るなり、驚いた様子だ。

タムが「こいつヤバすぎるよ。頭おかしい。」

するとNAKAMURAが「今からマッサージをするところだよ」と言い訳のように言っている。このままでは、タムが危ないが、私がここにいる以上はNAKAMURAは何もしないはずだ。

NAKAMURAが「まだ時間がかかるから眠っててくれ。終わったら呼ぶから」と言うので、私もここで引き下がるわけにはいかなく、「トイレはどこ?あそこは犬がいて眠れない」となんとか時間稼ぎをした。

 

私がトイレから出るタイミングでたむが、かなり苛立ってNAKAMURAに何かを言っていた。すかさず、NAKAMURAは私を見て「よし交代だ、今度はお前と話したい」と一言。

 

まぢか。たむがすかさず、「こいつマッサージするとかいって、胸を触ろうとしたからキレてやったよ。気をつけた方がいいよ。」

と言い、外の芝生の方に行ってしまった。残された私。たむより英語が話せないが。あんな風に言い返せるだろうか。不安になってきた。

f:id:zblo:20200625142440j:plain

芝生に寝転がるタム。犬はもういない。

 

たむが、芝生に行くのを確認するとNAKAMURAは私の方へ近寄り、いろいろと質問をしてきた。

「彼氏はいないのか?」、「君は本当にかわいい」、「僕の彼女にならない?(あんた奥さんいるんじゃないのかよ!)」

とにかく、この類の気持ち悪い質問ばかりしてくる。

だんだん面倒くさくなってきて、返事するのも適当になってきた。

すると、今度はマッサージをしてあげると例のベッドの上に座らせられた。

肩のマッサージの割には、ぜんぜん気持ち良くないし、なんだか触り方が気持ち悪い。しだいに、肩以外の場所を触るもんだから、こいつは完全に確信犯だ。と思い、

「フィニッッッッッッッッシューーーーーー!!!」と叫んでやった。

タムが声を聞いてやってきた。

 

するとNAKAMURAも「おっけぃ」と言い、気まずそうな顔をしている。

 

はあ。内心すごく怖かった。もし一人だったら。と考えると、私はこんな風に強気ではいられなかっただろう。

少しでも、こいつは良いやつかもしれないと期待した自分がバカだった。

カーンにしておけば、こんな目にも合わなかったかもしれない。

 

インドの怖さを知った。

この後も、NAKAMURAのトゥクトゥクでアグラ 城に行き、サリー屋、チャイ屋、土産屋などを回った。

しかし、脳裏に焼きつく、NAKAMURAに対する怒りと不信感と裏切られた感などが混じり合い。なんだか複雑だった。

インド、やっぱりとんでもない国かも。

人を信じても、簡単に裏切られる。

この国では誰を信用したら良いんだろう。

しばらくNAKAMURAのことは考えたくない。

 

内心かなりダメージを受けていた。

これからどうなってしまうんだろう。なめてたインド。