〜初の一人旅はタイへ〜 vol 5 まさかの流血事件
今回の旅を計画するにあたって、どうしても土曜か日曜日を入れたかった。というのも、タイでは土日限定のウィークエンドマーケットというものが開催される。
衣食住の全ての露店が出店されるビッグマーケットだ。
地元客も多く賑わうことで有名だと聞いていた。詳細は行ってみないとわからないが、きっと美味しい食べ物や記念のお土産などを買うチャンスだ。
ということで今日は日曜日。さっそくマーケットに向かってみよう。
最寄りのチャットチャットゥ駅?に到着。外に出るとすぐにマーケットで人が賑わっていた。
それぞれのエリアがジャンルごとに分かれているようでまるで迷路だ。一度通った道を再び戻ってこれる気がしない。店が隙間なく並び、道も行く先行く先に枝分かれしている。
すごい!これはすごい見ごたえがありそう
歩くとすぐさま店の店員らしき人が声をかけてくる。
「ハロー!你好!アニョハセヨ!こんにちは!」
店員は、私が日本人であると認識できないのでとりあえず、当てはまりそうな挨拶をしてくる。
そして日本語が聞こえると無意識に振り向いてしまう。私。
店員は「ニホンジン?オネエサン、ヤスイヨ。ナニカウ?」
すると隣の店の人も続けて
店員「コレカウ。カワイイ。ヤスイ」
もうとにかく少しでも興味があるそぶりを見せたら店員に取り込まれる。。。
初めて入った店でいきなり「ナニホシイ?」と言われても困る。
ただ見てるだけなのに。欲しいものなんてわからないよ。
せっかくかわいいとおもったものでさえも、店員のこの推し攻撃を浴びると一気に買う気が失せる。
あ〜せっかく買ってあげようと思ったのにな。
そうなると下手に意味もなく店に入るのがめんどくさくなる。
そう、ここで感じたこと。タイ人って
店に入る=買う気がある
物を手に取る=買う
いくら?と聞く=絶対買う
という感覚なのかな。それに例えばキーホルダとかの小物を一個だけ買うとする。
そうすると一個の値段は通常の5倍、6倍くらいする。
だから値下げしてと交渉する。すると、
5個買ったら1個の値段下げるよ。って。
だから買うときは、一個だけ買うと言うととことん損なのだ。代わりに大量買いをすればするほど価格は安くなる。
でも、一個でいい。自分のために買うお土産だから。こういうとき集団で来るとショッピングを楽しめるのかな。
それに、日本では値下げする文化はないし(大阪は違うのか)、欲しいものがあれば、商品には必ず値札もあり、お会計もスムーズだ。損とか得とか考えない。店員との会話だってしないのが普通だった。
ただ、ここタイでは、買うだけで一苦労だ。一つ買おうとすればコレもどう?あれもいいよ?と責め立てられ、買わないと答えると途端に冷たくなる。
なんだよ。お客と店員の関係性が全くない。
まあ。これが当たり前なのか。日本が異常なのよね。お客様〜とペコペコと作り笑いしている店員。
私には、タイのこの買い物は慣れないし、すごく疲れる。いつか慣れる日が来るのかな。
雑貨屋や衣服のお店は店舗はものすごく多いものの、売っている商品はどのお店もほとんど同じだ。むしろ、サイズや色がないと隣の店や友達らしき店にわざわざ聞きに行き、取りに行く始末。何だよ、店舗間のライバル意識はないのか、みんな和気あいあいとなんだか楽しそうだ。だから、買う側にとってはどのどのお店で買おうが品質や材料、デザインは同じ。
じゃあ、何が決めてで買うのか。
それは、店員との会話がどれだけ自分を満足させたかなんじゃないのかな。私の場合。
例えば、こんなことがあった。
私の方をニコニコといい笑顔で見ているおっちゃんがいた。
おっちゃんの店には、大きな木彫りの置物が売られていた。私はその商品にはもちろん興味がないし、素通りしようとした。しかし、おっちゃんはニコニコしながら、私に日本人はすばらしい。自分には日本人の友達がいる。と自分の話を嬉しそうに話していた。そのあと、家族の話などもしてきた。おっちゃんの英語は聞き取りにくく、ところどころタイ語?らしきものが混ざっていた。でも、話し方やその笑顔からは気の優しい、家族思いのお父さんが見えた。
私が一人旅だということを聞き、まるで自分の娘のように心配していた。
おっちゃんと話しただけで、今までの買い物トラブルや少し苛ついていた感情も一気にどうでもよくなり、むしろおっちゃんとの思い出に上書きされた。
何か、この心が温まった思い出を形として欲しくておっちゃんの店にあった小さな木彫りの置物を買うことにした。
それは、ホコリをかぶっていたし、塗装もハゲかかっていた。でも、私はこの店で買いたかった。おっちゃんは、これでいいのかい?と不思議そうにしていたが、私が買うといったら丁寧に置物を拭いて袋に包んでくれた。
値段や個数じゃない。
きっと日本に帰ったらこれを見て、おっちゃんのことを思い出すだろう。
私はここで思い出を買ったのだ。
一通り、雑貨、衣料、食品、家電等見て回り、だいぶ疲労が溜まってき来たので近くにあった公園で一休みすることに。
芝生の上に腰を下ろし、のんびりとぼーっとしていた。遊具で遊ぶ子どもたち。楽しそうにおしゃべりするカップル、世間話をしているであろうおばちゃん達。
なんとも穏やかで平和な時間が流れていた。
このゆったりとして時間の流れに身をまかせ、自分が今タイにいることが不思議でたまらない。少しは慣れた?のかな。
日本にいる友達や家族に会いたくなる気持ちはもちろんある。でも、孤独は感じない、困ったときはいろんな人が助けてくれたし、きっとこの先もそうであると思うから。
そんな安心感を感じたら一気に眠気が襲ってきて、そのまま芝生の上で眠ってしまった。
どのくらい眠ったのだろうか、あたりはもう暗くなっていた。
暑かったせいもあり、意外と疲れていたみたいだ。目を擦ると何やら違和感が。。。
ん?瞼が痛痒い感じだ。
というか重くて視界がぼやけてるな。
ふと携帯のカメラに映った自分の顔を見て、、、、?!?!
血?!?!
なんと私の額から血が流れているではないか!
あまりの恐怖と驚きに一瞬思考が停止する。
え?私寝ている間に誰かに殴られたのか?それともなにか盗まれた?
パズポート?お金?
ある。いや、こんな無防備に眠っていてある方がすごい。
え?でもなぜ血??
鏡を取り出してよく見てみる。
血は頭からではなく眉毛から流れたようだ。眉毛の一部が赤く腫れている。
これは虫にでも刺されたか?
ハチかな?デング熱とか?それとも未確認生物??
どうしよう?失明したら。
タイの病院なんて絶対行けないよ。
急に不安と恐怖がこみ上げてきた。
さっきまでものすごい安心感で満たされていたのに、束の間の居眠りのせいで一気に大逆転だ。
というか、冷静に考えてよくもまあ、こんな異国の地で堂々と女一人で居眠りできたものだ。しかも昼寝のレベルじゃない、もう夜だし、とうに3時間くらい寝てるわ。
自分で自分をつくづくやばいとさえ感じる。
とにかく、様子をみよう。どちらにせよ、あと2日で日本に帰るから、最悪病院は日本で行けばいい。
流血事件があったにもかかわらず、帰り道には魅力的な飲食店やらフルーツの露店が賑わい、目につくものはとにかく食べた。
それにしてもタイに来てからというもの食べ物は本当に美味しい。何を食べても大満足だ。
やっぱり、食べることが大好きな自分にとってこれはたまらない!
ゲストハウス に戻り、目のことが心配だったが、明日にはよくなることを願い就寝した。
深夜2時頃だろうか、外からものすごい激しい雨と風、雷の音で目が覚めた。
カーテンを開けてみると、アメリカ人の二人組みを起きて窓の外を見ていた。私も気になり、窓の方へ近くと、一人の女性が
「スコールよ。ものすごい雨だわ。」と話しかけてきた。
そっか、東南アジアではスコールって頻繁にあるんだっけ。昼間はあんなにいい天気だったのにな。
すると、またしてもアメリカ人の彼女が
「この子は私の娘なの。二人で旅をしているの」
え〜〜〜?!今、確かにdaughterって言ったよね?友達か姉妹かと思ってた。
まぢか。親子で旅か。なんかすごい、さすがアメリカ。
お母さんと二人でゲストハウス 泊まるってのもすごい。
そんなちょっとした会話があったからか、このスコールもさほど怖く感じなかった。一人ぼっちだったら結構参ってただろうな。人がいる空間って大事だな。
あ、そういえばごーちゃん似の子は。。。
げ?!寝息立てて寝てる。
すごいな、この音で起きないとか。笑
そういうとこも、やっぱりごーちゃんに似ている。
#女一人旅 #アジア