〜まぢなんなん!インドってさ!〜vol 3
出発前夜からたむが私の住むアパートにお泊まりして、翌朝一緒に成田に向かった。
お互い荷物はリュック1つ。かなり身軽だ。
今回乗るのは、エアインディア。
以前のタイの経験から今回は飛行機搭乗までスムーズにできた。経験がしっかり身についてきたのが嬉しい。
そして何よりも一人の旅でないことがものすごく嬉しく、私のわくわくはどんどん高まっていく。
エアインディアの機内に入った途端、もうそこはインドだった。なんと匂いがカレーなのだ。このなんともいえない色々なスパイスが混ざったような匂い。インドカレー屋の匂いだ。そしてCAはインド人。
あまりの環境の変化に私とたむは顔を見合わせて笑い、「なんなん」の一言。
ここから8時間のフライトだ。何本か日本語字幕の映画もあるし、機内食もまあまあ食べれる。割と快適に過ごせた。
いよいよ到着まで数時間。
インドに近づくにつれ、急に不安が押し寄せてきた。
あれ?そういえば列車のチケット印刷し忘れた。もし困った時にラジェンダと連絡するにはどうしたらいいんだろう?インドからの電話のかけ方わかんないや。
そんな小さな心配が募ってどんどん不安と恐怖が大きくなってきたのだ。
インド怖いな。大丈夫かな。
そんな不安をどうにかして和らげたく、隣にいるたむを見る。
いびきをかいてスヤスヤ寝てるし。
こ、こいつ。なんて図太いんだ。私が心配性なの知ってるくせに、そういえば、こいつ機内食食べてる時以外ずっと寝てる。
なんなん。まぢで。
そんなたむを見てたら、なんとかなるか、とさえ思えてきた。たむといるとどんなピンチでもなんとかなる。という根拠のない確信みたいのがある。
高校時代の部活だって、地獄の猛練習や合宿、練習試合だって辛すぎてこれ以上やったらもう死ぬ〜と思っていたけど、たむがいるだけでその気持ちもなんとかなると思える。そう思わせてくれる存在だ。
インド時間17時。インド到着。
機内から出ると、ものすごい熱気が押し寄せてきた。
そして空気を吸い込んだ途端、私たちは思わず一斉に発した言葉。
「くっっっっっっっさ!!!!!」
そう、それがインドに着いて最初に発した言葉。
その臭さを例えるならば、汗の臭いだ。もっとわかりやすく言うとワキガの臭いだ。
ここまで強烈すぎるのは、インド人全員から発せられているのではないか?
私たちは再び顔を見合わせ「なんなん!!」の一言。
これからずっとこの臭いの中生活するのか、と思うとちょっと嫌になった。
といってもここはまだ空港内。これから私たちを待ち受けるのは、何度も予習してきた私にはわかる。
外に出た瞬間、無数のインド人に囲まれ、「俺の車に乗れ」攻撃があるのだ。中には無理やり連れて行かれたり、いつの間にか貴重品を盗られることだってある。
しっかりと身構えて行く必要がある。
たむにも、よく伝えていたからお互い気持ちの準備は出来ていた。
まず、外に出たらラジェンダが言っていた通り、私の名前カードを持ったインド人を探すこと。
あとはその人に付いていけばいい。
よし、行こう!と意志をかため、いざ外へ。
・・・・・・・・・・。
誰もこない。あれ?
あたりはシーンとしており、誰も私たちに話しかけてこない。
そして前方に私の名前カードを持ったインド人がいた。
あ。いた。
ミッション完了。
あまりにも予想外すぎてむしろ物足りないとさえ思えてきた。
ぜんぜん情報と違うじゃん。
まあ。よかったことに越したことはないのだけれど。
そのままカードを持った運転手の後について行くと大きなバンに乗るよう指示された。
私たちだけかと思ったら、すでに多くのインド人が乗っていた。
そのまま車は出発。
車は走り出し、窓から外を見るとそこはもう異世界。
けたたましく鳴り響くクラクションの音。
車、トゥクトゥクの数が多く隙間を割って入るように走る。信号もないし、スピードも出し放題。逆走も当たり前。この国には交通ルールてもんは存在しないのか。
いつぶつかって事故ってもおかしくない状況に内心ヒヤヒヤしていた。
これこそカオス。
しばらく走ると宿に行ってくれるかと思いきや、車はラジェンダさんのいるシゲタトラベルのオフィスへ到着。
よかった。これで飛行機内で考えた心配事も相談できる。
オフィス内にはとても綺麗で豪華。そしてたくさんの日本人がいた。
すると、ラジェンダさん登場。
メールであれだけいろいろとやりとりしていたので、私は会えたことに少し感動していた。
だが、話してみるとメールでのイメージとは少し違い、無表情で割とサバサバしていて淡々と話す人だった。
それでも、メールで言った通り、列車のチケットやその他もろもろ準備しておいてくれたのだ。
もっとフレンドリーでハグしたりしてくるかと思ったが、どちらかというと、見た目以外は完全に日本人だ。きっと、仕事上日本人のことをよく理解してのこの対応だったのかな。
これで私の心配事は解消。
ほっとした。
その後再び移動し、本日の宿VIVEKに到着。
2人で800ルピー(1000円くらい)
なんとシャワーは水のみ、エアコンなしだ。まあ、一晩だし大丈夫だろう。
荷物を置いたらものすごい空腹が襲ってきた。気づけばもう夕飯の時間だ。
この宿はメインバザーロードに面しているため、外は店屋や人で大賑わいだ。
とにかく外に出て町歩きをすることに。あたりは暗く、暗闇で見るインド人は目だけがギョロギョロと動く感じがして怖かった。そして一斉に私たちに視線が向けられる。100%の確率でインド人は私たちをガン見する。だが、特に何も話しかけない。
何も悪いことしていないのに、何ともいえない気分。うっわ。めっちゃ目立ってるし。
そういえば、観光客らしき人はほとんど見ない。
というか、わざわざ来ないか。道には犬や猫、そして人も横たわっている。
生きているのか死んでいるのかさえわからない。
なんともいえない空気。カオスだ。
しばらくあるくと、一軒の店らしきところを見つけた。店と言っても、簡素なテーブルがいくつかあるだけで店員と客の区別もつかない。が、食べているものを見ると、カレーだ。
とりあえず、ものは挑戦。たむも私も食べられれば汚さとかどうでもいいと思っていたので迷わず入店。すると、注文をしてないのに銀皿に骨のついたカレーとナンのようなうすっぺらいパンが出てきた。
ラッシーも飲みたかったので「ラッシー2ツー」と運んできたインド人に言うと無言でその場を去り、しばらくしてラッシーを2つ持ってきた。
周囲にいる人たちは私たちにガン見だ。というか、見渡す限り男ばっか。
女の人や子供を見ない。どうしてだろう。
さあ!お腹はペコペコ。念願のインドカレー。これが本場のインドカレー。
インドの味をいざ!実食!!!
うううううう。辛い。辛すぎる。
口に入れた瞬間猛烈な辛さが私たちを襲う。辛すぎて味がもはやない。
すかさず。ナンみたいのを食べるが、これがゲキマズ。
私たちはこれまでだって食にうるさいわけではない。むしろ与えられたら何でも食べる。見て分かる通りこのポッチャリ体系だ。カロリーだの成分だのそんなこと全く気にしないし、好き嫌いだってほとんどない。(私のしいたけとネギ嫌いは別として)
そして最後の頼みのラッシー。
飲もうとした瞬間。気づいた。コップの底が黒く濁っている。
そしてコップがめちゃくちゃ汚い。
飲むのを一瞬躊躇ったが、すでに口の中は辛さでマグマ状態。
周囲でガン見しているインド人はそんな私たちのリアクションを見てゲラゲラ笑っている。
ええい。飲んじゃえ!たむも同じ気持ちだ。同時にひるむことなくゴクリ。
味がない。美味しくない。
撃沈。
インドに来てどんなに嫌な目にあったって。騙されたって。きっと食がおいしければ乗り越えられる。と思ってたのに。
どこもこの味なのか。
後味があまりにも悪かったので最後にビールを注文してみたが。
「NO」の一言。ないようだ。
あ、そういえば、インド人は一般的にビールをあまり飲まないと何かの情報で得ていたことを思い出した。
そうか、ここは外国人向けの店じゃないからないのか。
きっと店が悪かっただけだとお互い励まし合い、明日こそは最高にうまいカレーを食べるぞと心に決め、宿に戻った。
1日目のインド。
私のビビリがまるで嘘だったかのようにことはうまく進んでいく。
これは運がいいだけなのか?
日頃の行いがいいからなのか?
それともまだまだこれから何かが待ち受けているのか?
何はともあれ無事に1日目が終了。
明日からは行きたかった場所へ。
*機内であれだけ爆睡していたたむだったが、宿でもベッドに入るや否や即就寝。
寝る子は育つ。
VOL4 へつづく