日本へ一時帰国した時の話
ベトナムでの生活が約1年経った頃、日本へ一時帰国した。2年間帰るまいと思っていたが、思わぬ病気や物資調達も兼ねてやはり帰国を選んだ。正直、帰ることに不安はあった。帰ったあと、妙な喪失感とかベトナムに戻りたくない気持ちが沸いたら、、なんて恐怖もあったのだ。
ただそんな私の不安とは大きく違う結果となった。
これまでベトナム国内旅行は何度も行った。しかし必ずと言っていいほどフエの良さを改めて気づき、すぐに帰りたくなる。
ベトナム人の同僚からのメールですぐに彼女たちに会いたくなるのは言うまでもない。
とにかく、自分が思っている以上にフエが居心地よく、安心するのだ。フエに住んでいて人との関わりの中で嫌な思いをしたことがない。いつだってフエの人々は私を満足させてくれるのだ。
だが、母国となれば日本の良さを目のあたりにし、今生活するベトナムでの環境に再び戻れるのか、、。
私の性格上、我慢は自分を苦しめることになる。
日本に降り立って衝撃的だったのは、私と周囲の友達や家族の時間の流れがあまりにも違うことだった。
私にとっては、1年前の日本とは大きく変わっていたのだ。
まずは人。まるでロボットのように同じ動きをして流れるように歩く人々。歩くペース。表情。服装。なんだか、みんな同じにみえた。
これは、日本人の根底にある「人に迷惑かけないように」という無意識のうちに洗脳されている考えから、自然と列を作り、等間隔にきれいに並ぶ。大声で笑ったり、暇だから知らない人に話しかける。なんて絶対しない(相手にどう思われるかを気にしているからね)
店に入ると、店員はすかさず笑顔で「いらっしゃいませ」と言い、マニュアルに従ったセリフ、注文が決まりそうな時間を見計らってこちらにやってくる。
お客様重視の接客だ。
ベトナムでは、店員と客の区別がつきにくい。「いらっしゃい」よりも「ああ、来たのか」そんな感じだ。
もちろんメニューなんてあってないようなものだから、客が聞かなきゃ答えないし、全て自由。
そんな違いが私にとっては違和感でしかない。
こういう違和感こそが日本人がストレスと感じたり、生きづらさとなる原因となるんじゃないかな。
日本にいる以上避けられないのだけれど。
だから、私は1年ぶりの日本の変化よりも、自分の心情や感覚的な変化に戸惑いを隠せなかった。
友達はというと。そんな私のいわばカルチャーショックに気付くわけもなく「久しぶり」程度である。
これは、私だけが感じること。私しかわからないこと。
貴重な瞬間である。
しかし、それから数日が経ち、、
やはり私は日本人だった。すっかりこのシステム化された社会。つくられた社会にすっかり慣れ、違和感もなくなってきてしまった。
きっとこれ、さらに1年後の本帰国の時もすぐに日本に慣れちゃうんだろうな。
私自身が感じた変化(備忘録として)
・一人でいること、好きで一人でやっていたことが、誰かといたいに変わっていた。
・人との距離感が近くなっていた。(日本人は嫌がるやつ)
・声がやたらと大きく、あまり人目を気にしなくなった
・ブランド、素材重視だった物欲は消え、安くて自分に似合うものを選ぶようになった。
・美意識が高くなった。
・こだわりが薄れ、怒りやイライラ感情が消えた
・人見知りがなくなり、他人にも話しかけてることがある
・食が細くなった
・甘いものを欲しなくなった
・お酒も弱くなった